ととのった時、心拍数はどう変わる? グラフで見る「ととのい」の形
サウナ、水風呂、休憩を終えたあとに訪れる「ととのう」感覚。心拍数はどう変化するのか、Furologのグラフで見られる傾向と、うまく休めなかった時との違いを解説します。
2026年9月4日 更新

サウナに通う理由を聞かれて、「ととのうため」と答える人は少なくありません。水風呂のあとの休憩中に、体の力が抜け、頭はすっきりして、ふわりと浮くように感じる。一般に「ととのう」と呼ばれているのは、そんな感覚です。
その時、心拍数はどのように動いているのでしょうか。Furologの記録では、サウナで上がり、水風呂で急に下がり、休憩中にゆっくり落ち着く流れがよく見られます。ただし、グラフだけで「ととのった」と断定できるわけではありません。ここでは、心拍数から読み取れる傾向と、読み取れないことを分けて見ていきます。
この記事は一般的な情報であり、医療上の助言ではありません。体調に不安がある場合や、心臓・血圧に関する持病がある場合は、サウナや水風呂を利用する前に医師へ相談してください。
ととのった時の心拍数は、多くの場合、3段階の動きをしています。サウナで徐々に上がり、水風呂で急に下がり、休憩中にさらにゆっくり下がって、サウナ前と同じか少し低い水準に落ち着く。最後の段階は副交感神経が優位になる「リバウンド」で、ここだけは研究で測られています。フィンランドの研究では休憩30分後の心拍数がサウナ前を下回り、日本の実測研究では休憩中の心拍変動と主観的な「ととのい度」に相関がありました。グラフに映るのは感覚そのものではなく、その土台になる体の反応です。
ととのう時、心拍数はどう動く?
上昇。 サウナに入ると、体は熱を逃がすために皮膚の血流を増やします。それに伴って心拍数も徐々に上昇します。ロウリュの直後や上段へ移動した時には、一時的な上振れが記録されることもあります。
急降下。 水風呂へ入った瞬間は、コールドショック反応と呼ばれる冷たさへの反射で、息が詰まり、心拍数が一時的に跳ね上がることがあります。その後は、サウナを出たことによる負荷の低下と体温調節の変化が重なり、心拍数が大きく下がっていきます。1975年の日本の研究でも、冷水浴で心拍数が急降下し、時には安静時を下回ると記述されています。変化の幅や速さには個人差があります。
回復。 休憩に入ると、心拍数はさらにゆっくりと下がります。安静時に近づく場合もあれば、一時的に安静時を下回る場合もあります。Furologでは、この回復の速さや推移を振り返れます。
「心拍数が安静時を下回ったら、ととのった」と単純に判定することはできません。感じ方は主観的で、睡眠、水分、室温、その日の体調などにも左右されます。グラフは体の反応を振り返る手がかりとして使うのが適切です。
研究は何を言っているか
2019年にフィンランドで行われた研究では、1回のサウナ浴と30分の回復を通して心拍数と心拍変動が測定されました。平均心拍数はサウナ前の77bpmから、回復終了時には68bpmまで低下し、心拍変動もサウナ前に近い水準へ戻っています。この結果は、サウナ後の休憩中に自律神経の状態が変化することを示しています。
日本にも小規模ながら実測の報告があります。2023年のシンポジウム論文では、サウナ愛好家42名に手首型の心拍センサーを着けてもらい、サウナ、水風呂、外気浴を通して心拍変動を記録しました。副交感神経の指標であるrMSSDはサウナ中に下がり、外気浴で上がり、その値は参加者が答えた主観的な「ととのい度」と相関していました。水風呂の側にも手がかりがあります。運動後に14°Cの水へ数分浸かると、安静に座るより早く副交感神経の指標が回復したという報告があり、2025年の系統的レビューでは、対象となったすべての研究で冷水浴後の副交感神経の再活性化が報告されています。
一方で、これらの変化と日本でいう「ととのう」感覚との対応は、十分に検証されていません。β-エンドルフィンやアドレナリンを使った説明もよく見かけますが、冷水浸漬で大きく増えることが確認されているのは主にノルアドレナリンで、同じ研究ではアドレナリンは変化していません。現時点では、特定のホルモンや心拍数の形だけで「ととのう」仕組みを説明し切ることはできません。
グラフに表れやすい形
Furologの記録では、気持ちよく休めたセッションに次のような流れが見られることがあります。
- サウナにいる間、心拍数が徐々に上がる。
- 水風呂へ入った前後で、心拍数が大きく変化する。
- 休憩中に心拍数がゆっくり下がり、安静時に近づく。
Furologは回復の深さやタイミングをもとに、セッションを5つの回復パターンに分類します。これは体の反応を比較するための機能であり、「ととのったかどうか」を医学的に判定するものではありません。
うまく休めなかった時の形
休憩に入っても心拍数が高いままの場合は、サウナに長く入りすぎた、休憩が短かった、水分が不足していた、といった可能性があります。ただし、グラフだけで原因を特定することはできません。ととのわないのはなぜ?では、振り返る時のチェックポイントをまとめています。
水風呂に入らなかった場合は、心拍数が急降下せず、時間をかけて緩やかに戻ることがあります。急な冷刺激を避けたい人には、こちらのほうが快適なこともあります。水風呂は必須ではありません。
気持ちよく休むためのポイント
- 無理に長く入らない。 時間や心拍数は目安です。つらさを感じたら、数字を待たずに出ましょう。サウナは何分入る?
- 水風呂は短めから試す。 初めてなら30秒ほどでも十分です。冷たさが苦手なら、冷水シャワーだけでも構いません。水風呂は何分、何度?
- 休憩を急いで切り上げない。 5分から10分を目安に、呼吸と心拍数が落ち着くまで休みます。外気浴は何分?
- セットの合間に水分を取る。 汗をかいた分を補い、次のセットへ急がないことが大切です。
- 毎回同じ感覚を求めない。 睡眠や疲労、その日の体調によって感じ方は変わります。調子が悪い日は早めに切り上げましょう。
サイクル全体
一般的な流れは、サウナ、水風呂、休憩の順です。ただし、水風呂が苦手な場合は無理に入る必要はありません。初めての流れは初心者ガイドで順番に紹介しています。
あわせて読みたい: ととのわないのはなぜ? · サウナの心拍数の目安 · 外気浴は何分?
参考文献
- Tipton MJ. "The initial responses to cold-water immersion in man." Clin Sci (Lond). 1989;77(6):581-588. https://doi.org/10.1042/cs0770581 (冷水浸漬直後のコールドショック反応の原著)
- 水田ほか「サウナ浴の身体に及ぼす生理的効果」体力科学. 1975;24(3):101-107. https://doi.org/10.7600/jspfsm1949.24.101 (サウナ中の心拍数は時間に比例して上昇し、冷水浴で急降下)
- Laukkanen T, et al. "Recovery from sauna bathing favorably modulates cardiac autonomic nervous system." Complement Ther Med. 2019;45:190-197. https://doi.org/10.1016/j.ctim.2019.06.011 (73℃・30分後の休息30分で心拍数は77→68bpm、副交感神経優位に)
- 河原ゆう子, 石神稜大. 「サウナが心拍変動に及ぼす影響(第1報)サウナの温熱環境による影響」第47回人間-生活環境系シンポジウム報告集. 2023;47:93-96. https://doi.org/10.24538/jhesp.47.0_93 (42名の実測でrMSSDと主観的ととのい度に相関)
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まとめ
- ととのうとは、サウナ後の休憩中に感じる、深くリラックスした感覚を表す言葉です。
- 心拍数の傾向: サウナで上がり、水風呂の前後で大きく変化し、休憩中にゆっくり落ち着きます。
- 分かること: 回復の速さや、セットごとの体の反応を比較できます。
- 分からないこと: 心拍数だけで「ととのった」と断定したり、その原因を特定したりすることはできません。


